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竹下景子が脱いだ?原田芳雄を悼む [幻の名作映画]

 出張前は、準備や台風やでドタバタして知らなかったのですが、原田芳雄さんが亡くなったそうですね。ホテルのテレビで知りました。好きな俳優だったのでとても残念です。
 
 私が高校生の頃は、まだビデオは普及していませんでした。当然レンタルビデオもなく、昔の映画を見るのは結構大変でした。当時東京には名画座が結構あったので、まだ恵まれた方だったと思います。「ぴあ」という情報誌を毎月買って、見たい映画がどこかで上映しないかチェックしていました。ほぼ毎日のようにどこかのテレビ局が映画放送をやっていたので、それも結構見ていました。
 
 休み時間、誰かが「今日放送する映画で竹下景子が脱ぐらしいぞ」と言い出しました。黒木和雄監督中島丈博脚本「祭りの準備」でした。翌日はその話で持ちきりになりました。「あれは吹替えだ。竹下景子が脱ぐわけがない。でも本物っぽかったぞ。」竹下景子さんは「お嫁さんにしたい女優No.1」と言われていた時代です。吹替えだったかどうか結論は出ませんでした。しかし皆の一致した意見は、駅ホームのシーンでの原田芳雄は良かったでした。
 
 駅での別れの場面というのは映画になりやすいのか、名シーンがたくさんありそうです。実世界でも駅での別れというのは感動的になりやすい物です。そんな中でも、この映画のラストシーンは最高の物の一つだと思われます。もっと多くの人に評価されるべき物です。
 
 脚本家を目指し東京へと旅立つ主人公と、それを見送る男。罪を犯してしまったため、戻りたいのに戻れない男が、家を飛び出す主人公へ、自らの夢を託すかのように、ホームの端まで万歳を繰り返して送り出します。
 
 初めて見たとき目頭が熱くなりました。何年かたって、再放送されたのをたまたま見ました。2回目でも泣けました。ずっとたって、NHK-BSで放送されました。録画して何回も見ました。その度に泣けました。DVDで販売されて購入しました。DVDで見ても泣けました。とてもとても大好きな映画です。
 
 この見送る男を原田芳雄が演じています。何回見ても、演技してる感じが見られません。本当にこんな人がいそう、原田芳雄が地のままやってるだけじゃないか、そう思わせるほど自然に演じています。すごい演技です。
 
 原田芳雄さんのご冥福をお祈りいたします。


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  • メディア: DVD



映画「おくりびと」の原点 [幻の名作映画]

 週末義弟にビデオをDVDにダビングしてもらいました。もうVHSビデオなんて見ることはないと思っていたのですが、どうしても見たい映画がDVDで再販されないためです。滝田洋二郎監督の「病は気から 病院へ行こう2」です。
 
 題名からは想像できないと思いますが、ホスピスを舞台とした末期がん患者の話です。死と向き合う人々をコメディタッチで描いています。こう書くとふざけた映画と思われるかもしれませんが、全くそんなことはなく、死と向き合うことで生きる意味を問う作品です。黒澤明の「生きる」に匹敵する映画で、十分世界に通用する映画だと思います。「おくりびと」がアカデミー賞を取ったとき、滝田洋二郎監督の過去の作品が再評価されてDVDで出るかなと期待したのですが駄目でした。何か販売できない理由があるのでしょうか。仕方なくアマゾンのマーケットプレイスでレンタル落ちのビデオを1年前に購入しました。1年間そのままにしていたのをやっとダビングしてもらったのです。
 
 「おくりびと」で納棺師という、ともすれば忌み嫌われる職業を笑いを交えながらも美しく描いた滝田洋二郎。死と向き合う末期がん患者をコメディタッチで描くこの作品は、ある意味、映画「おくりびと」の原点ともいえるのではないでしょうか。
 
 冒頭は主人公である小泉今日子が亡くなるシーンから始まります。主人公の「死」は避けられないのです。近づく死、残された日々をどう生きるか。いろいろ考えさせられる映画です。「死」とは特別な物ではない。特別扱いする世間を皮肉る台詞がさりげなく出てきます。
 『癌になったら「さん」づけ。世間って傑作』
 『身勝手な同情や涙でくさい物にふたをするのは勝手ですが、私にはふたをしないで』
 
 昔見たときは思わなかったのですが、今改めて見てみると、小泉今日子以外の人ではできない映画です。まるで小泉今日子のために作ったような気がしてしまいます。それだけはまり役です。けなげな小泉今日子の姿に涙がでてきます。
 
 どんな理由があるのか分かりませんが、今この映画を見るにはレンタルビデオ店でVHSビデオを見るか、中古のビデオ、レーザーディスク(も出ていたらしいです)を買うしかありません。マーケットプレイスに出てくるように、レンタルビデオでも在庫は無くなってきているのではないでしょうか。残念なことです。こんなに良い映画が簡単に見られないなんて。もっともっともっと評価されて良い映画だと思います。
 
 『無意味に健康だったときより、ずっと元気です』


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