死と貧困をみつめる楠勝平 [幻の名作漫画]
昨日も休日出勤で、帰ってのが9時近く。かなり精神的にも肉体的にも疲れています。なにか気楽に読める漫画でもないかと本棚を漁ると、楠勝平著「おせん」が目に入りました。
楠勝平という漫画家は、ほとんど知られていないと思います。若くして心疾患で亡くなったため、残している作品もわずかです。ここに詳しく解説されています。
http://godzillu.daa.jp/syouhei/index.html
ガロ増刊号楠勝平作品集には、有名漫画家からの賛辞が載せられています。引っ越しの時この本が無くなっていたため、引用できません。ただ、当時すでに売れっ子だった池上遼一が、楠勝平を初めて読んだとき、悔しくてその本を壁にたたきつけたというようなことを書いていたことを憶えています。池上遼一をして嫉妬心を抱かせるような作家です。
かって朝日ソノラマ社から「マンガ少年」とう雑誌が出ていました。COM廃刊で中断していた手塚治虫「火の鳥」を再開するのを柱にした雑誌です。そこでみなもと太郎さんが「お楽しみはこれもなのじゃ」とうエッセイを書いていました。題名から明らかなように和田誠さんの「お楽しみはこれからだ」を模して、漫画の名台詞を紹介したものです。ここで初めて楠勝平を知りました。たまたま近所の古本屋でガロ増刊号を見つけ、虜になりました。
「お楽しみはこれもなのじゃ」から引用します。
『このエッセイを始める前から、どうしても語りたい人だと思いつつ、触れれば何かが消えてしまいそうな気がして、ためらいためらいここまで来てしまった。』
『付記・「楠氏が死んだとき、泣きながら飲み明かした」という編集者がいる。氏はそのことをなにげなく(多少恥じらいつつ)僕に語ったのであるが、僕はそれ以来この編集者だけには頭があがらなくなってしまった。』
小林秀雄は「モオツアルト」の中で、
『すぐれた芸術作品は、・・何かを語ろうとする衝動を抑えがたく、しかも、口を開けば嘘になる・・。美というものは・・美しくもなく愉快でもないものである。』
と語っています。
楠勝平の作品について何か書こうとすると、こんなのではない、もっとスバラシイものだ。こんな言葉ではこの作品の良さが伝わらない。でも何か書きたい。と苦しくなります。
最後の作品「彩雪に舞う・・・」では、祖母と二人暮らしの病床の幼い少年が描かれます。疲れた祖母を気遣って、一人這いつくばって寝間着を着替える少年。少年の唯一の友である小鳥を呼ぶため、夜中にエサを撒くおじいさん。死と貧困にあえぎながらも、人に対するやさしさにあふれています。
こんな文章を読むよりも、実際の作品を読んでもらうのが一番なのですが。楠勝平の作品を読むのが困難になっています。アマゾンの中古品では、2001年にでた楠勝平作品集定価3600円が29900円になっています。これではいくら良い作品でも、試しに読むには高すぎます。
文庫で良いのでどこかの出版社が出してもらえないものでしょうか。
楠勝平という漫画家は、ほとんど知られていないと思います。若くして心疾患で亡くなったため、残している作品もわずかです。ここに詳しく解説されています。
http://godzillu.daa.jp/syouhei/index.html
ガロ増刊号楠勝平作品集には、有名漫画家からの賛辞が載せられています。引っ越しの時この本が無くなっていたため、引用できません。ただ、当時すでに売れっ子だった池上遼一が、楠勝平を初めて読んだとき、悔しくてその本を壁にたたきつけたというようなことを書いていたことを憶えています。池上遼一をして嫉妬心を抱かせるような作家です。
かって朝日ソノラマ社から「マンガ少年」とう雑誌が出ていました。COM廃刊で中断していた手塚治虫「火の鳥」を再開するのを柱にした雑誌です。そこでみなもと太郎さんが「お楽しみはこれもなのじゃ」とうエッセイを書いていました。題名から明らかなように和田誠さんの「お楽しみはこれからだ」を模して、漫画の名台詞を紹介したものです。ここで初めて楠勝平を知りました。たまたま近所の古本屋でガロ増刊号を見つけ、虜になりました。
「お楽しみはこれもなのじゃ」から引用します。
『このエッセイを始める前から、どうしても語りたい人だと思いつつ、触れれば何かが消えてしまいそうな気がして、ためらいためらいここまで来てしまった。』
『付記・「楠氏が死んだとき、泣きながら飲み明かした」という編集者がいる。氏はそのことをなにげなく(多少恥じらいつつ)僕に語ったのであるが、僕はそれ以来この編集者だけには頭があがらなくなってしまった。』
小林秀雄は「モオツアルト」の中で、
『すぐれた芸術作品は、・・何かを語ろうとする衝動を抑えがたく、しかも、口を開けば嘘になる・・。美というものは・・美しくもなく愉快でもないものである。』
と語っています。
楠勝平の作品について何か書こうとすると、こんなのではない、もっとスバラシイものだ。こんな言葉ではこの作品の良さが伝わらない。でも何か書きたい。と苦しくなります。
最後の作品「彩雪に舞う・・・」では、祖母と二人暮らしの病床の幼い少年が描かれます。疲れた祖母を気遣って、一人這いつくばって寝間着を着替える少年。少年の唯一の友である小鳥を呼ぶため、夜中にエサを撒くおじいさん。死と貧困にあえぎながらも、人に対するやさしさにあふれています。
こんな文章を読むよりも、実際の作品を読んでもらうのが一番なのですが。楠勝平の作品を読むのが困難になっています。アマゾンの中古品では、2001年にでた楠勝平作品集定価3600円が29900円になっています。これではいくら良い作品でも、試しに読むには高すぎます。
文庫で良いのでどこかの出版社が出してもらえないものでしょうか。
2010-09-26 12:57
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