SSブログ

父の年を越えて [日記]

 もう40年近く前、私が小学生の頃でした。水俣病、イタイイタイ病等の公害が問題になっていた頃です。日本各地の海で有機水銀が検出されたこと、その影響で魚屋に客が来なくなったことがニュースで放映されました。それを見た父はふらっとどこかへ行ってしまいました。しばらくして、安かったぞと言ってマグロの刺身を沢山買ってきました。今ニュースでやってたじゃない、と言っても、大丈夫だよ、うまいぞと言って一人で食べていたのを覚えています。
 
 当時は父の行動が理解できませんでした。今から考えると、風評被害の走りだったのかもしれません。父はそんな風評を気にせず、逆にチャンスと考えていたようです。今は父の行動が理解できるようになりました。O157とか狂牛病、最近では鳥インフルエンザ等風評被害が出るたびに父の行動を思い出します。
 
 風評被害が出る背景には、人々の不安があると思います。情報不足・知識不足から不安となり、自分の判断ができなくなる。安易に人がやることをまねしたり、必要以上に警戒したりして風評被害が大きくなるのではないでしょうか。人の行動に左右されず、自分の考えをしっかり持てば風評被害は防げるのではないでしょうか。
 
 今回の地震の後も、乾電池・懐中電灯や保存食などを買い占める人が大勢いました。東京のように人が多いところでも、人が自分に必要な分だけを買えば十分他の人に回るだけのものがあります。しかし一人一人が今必要ないものでも余分に買うためにものが不足してしまう。残念なことです。
 
 父は47歳、私が中学の時に亡くなりました。脳卒中でした。自分がそんな年になるなんて考えてもいなかったのですが、気がついたら父の亡くなった年を越えていました。

 父は9人兄弟の次男でした。実家は庄屋だったそうですが、曾祖父の時に傾き、祖父の代では苦労したそうです。父は義務教育を終えると直ぐに働きにでて、仕送りで実家を助けていたそうです。苦労したせいか、人の考えに流されることなく、自分の考えを持っていたのでしょうか。
 
 父の年を超えてしまいましたが、そんなの大丈夫だよ、と笑っていえるほど自分に自信を持っていません。ついつい人の考えに流されてしまいます。年をとるだけでは駄目だということですね。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。