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lifetouch noteと格闘 [lifetouch note]

 生まれ育った東京を離れ富士山が見える町へ引っ越したときでした。朝家から出ると雄大な富士山が見え感動しました。友人に話すと素っ気ない反応。その町で生まれ育った友人には富士山は当たり前のことで、きれいに見えても当たり前、どうでもいいことだったのでしょう。

 昔読んだ佐藤信夫「レトリック感覚」という本に”異化”と”自動化”という言葉が出てきました。日常生活で慣れ親しんだものは、次第に惰性となり、”自動化”されて感動がなくなる。”自動化”してしまったものを新しい視点でとらえ直し、改めて認識し直すことを”異化”というらしいです。友人は”自動化”してしまってきれいな富士山に感動できなくなっていたのでしょう。

 
レトリック感覚 (講談社学術文庫)

レトリック感覚 (講談社学術文庫)

  • 作者: 佐藤 信夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1992/06/05
  • メディア: 文庫




 レトリックというと文章の飾りのようなもので、本質的なものではないと思っていました。ところがそんなものではなく、もっと人間の知覚・認識に係わる本質的なものであること、言語というものが思考に深く係わっているということをこの本から学びました。その後、ベストセラーにもなった筒井康隆「文学部唯野教授」や大江健三郎「小説の方法」、「新しい文学のために」等を読み、どの本もこと”自動化”と”異化”を取り上げていて現代文学にとって重要な概念であることを知りました。S.I.ハヤカワ「思考と行動における言語」なんていう本も読んだりしました。しかし、最初に読んだ為か、佐藤信夫さんの本が一番わかりやすかったし、知の感動・知ることの喜びを感じさせてくれました。

 なぜこんなことを思い出しているかというと、lifetouch noteを使っていると初めてパソコンを触った頃のことを思い出すからです。パソコンを使っているときの”自動化”して失ってしまったもの、ワクワクするような楽しさ、こんなこともできないのかという怒りと失望、考え工夫して解決したときの感動、そんな感覚を味あわせてくれるのです。日常生活に深く係わりすぎてしまって感動が無くなってしまったパソコン。昔は、唯の道具ではなく夢と希望を実現させてくれそうな期待を持たせてくれたものでした。lifetouch noteはそんなものを思い出させてくれるのです。

 だからといって、lifetouch noteがとても素晴らしいものかというと、そうではありません。かなり中途半端はもので、改良の余地ありまくり、不満たらたらの機会でっす。もともと”Android”が携帯用のOSですから、ハードキーボードは想定外のようで、ソフトもうまく対応していない物が多いです。逆にこの不便さが良いのかもしれません。この不便さを何とかしたい、この思いが知恵と工夫を引っ張り出してくれるようです。

 NECはしばらくはキーボード付きAndroidは作らないようです。当分は暴れ馬lifetouch noteの乗りこなしで楽しめそうです。Android「ポメラ」が出たらどうしよう。。。。


レトリック認識 (講談社学術文庫)

レトリック認識 (講談社学術文庫)

  • 作者: 佐藤 信夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1992/09/04
  • メディア: 文庫



文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/01/14
  • メディア: 文庫



新しい文学のために (岩波新書)

新しい文学のために (岩波新書)

  • 作者: 大江 健三郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1988/01/20
  • メディア: 新書



小説の方法 (同時代ライブラリー)

小説の方法 (同時代ライブラリー)

  • 作者: 大江 健三郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1993/03/15
  • メディア: ペーパーバック



思考と行動における言語

思考と行動における言語

  • 作者: S.I.ハヤカワ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1985/02/25
  • メディア: 単行本



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